いちごいちえ
息もできないようなキスに、思い切り瑠衣斗の胸を押して距離を取ろうとする。
でも、そんな抵抗も空しく、強く抱きすくめられてしまう。
「っ…やだっ!!」
それでも尚、強く胸を押すと、瑠衣斗がすんなりと腕の力を抜いた。
「そーゆう声は出せんのに、なんも言えねえのかよ」
冷たい声に、思わず言葉を失った。
ハッとして瑠衣斗を見つめても、その目はすぐにそらされてしまう。
どいしよう…怒らせちゃった。
私を見ようとしない瑠衣斗に、どんどん鼓動が激しくなる。
背筋から血の気が失せていくように、ゾクゾクとした。
「…俺はそんなに信用ねえの?」
「え…ちがっ」
「ももが何考えてるか分かんねー」
イライラした様子で、瑠衣斗が私の言葉を遮る。
どんどんと悪くなる雰囲気に、為すすべもなくただ瑠衣斗を見つめた。
「俺ばっか…お前の事好きみたいじゃんか」
力なく呟かれた言葉に、胸がキュッと縮んだ。
「不安になるだろう」
そんな言葉に、体中がふっと楽になった気がした。
栓を抜いたように、詰まっていた物が流れていくようだ。
「るぅ…が、困るにと思って」
「…もう困ってるしこの際いい」
う…そう言われると……余計言い辛いんだけどな…。
そう思いながらも、私は意を決して口を開いた。