いちごいちえ

｢るぅ…慣れてるのかな…って｣


｢……慣れてる…？｣



言葉足らずな私のセリフに、瑠衣斗が深く眉間に皺を寄せる。



一番肝心な部分を、一気に紡ぎ出す事はできなかった。



意味の分かっていない瑠衣斗は、眉間の皺を緩ませる事なく私を見つめる。


目が逸らされない事に少しほっとしつつも、状況が良くなった訳ではない。



｢慣れてるってなに｣



先を急かすように、瑠衣斗が私に言葉を繋げる。



慣れてるとか言ったけど、そんな風に言って良かったかな……。



自分の言った言葉に不安が募り、口が重くなる。


でも、じっと私の言葉を待つ瑠衣斗を、これ以上待たせる訳にはいかない。



｢その…女の子……に｣



｢…女の子？｣



｢前から…思ったりしたんだけど、でも…なんか今日は、気にしだすと止まんなくなっちゃって……｣




何度か考えた事はある。

瑠衣斗だって、今まで彼女が居なかった訳じゃないし……。


だから慣れてるのかなって。



虚しすぎる自分の思いが、悲しいくらい胸を切なくさせる。



いつの間にか目を伏せてしまい、瑠衣斗がどんな顔で私の話を聞いているのかさえ分からない。



重いって思われたかな……。

そんなの関係ないだろって、るぅは思ってたりするのかな。



｢るぅの過去に…嫉妬しちゃって……困らせるだけって思ったんだけど……｣



弱々しい自分の声に、どうしようもなくなった私は、そのまま口を噤んだ。