いちごいちえ




「…ももちゃんになりたいよ〜…」



思わず漏れた独り言が、弱々しくて情けなくなる。


これからどうなっちゃうんだろう。

どうすればいいんだろう。


……しまった!!美春に電話でもしとけば良かった!!



…い、いや…それはマズいかも……みんなにバレちゃう……

って!!バレちゃうって何が!?



って!!!!私なに!?その気満々!?



いやいやいや、違う違う違う……。



頭を抱えたくなる自分の思考に、呆れて溜め息が出る。



るぅが言うのは、私を大切にしたいって事で。


今のこの時間を、大切にしたいからで。


だからこそ、歯止めが利かなくなっちゃうんだ。


だったら私は…どうするべきなんだろう……。



ガチャリと扉が開く音がして、大袈裟な程体が飛び上がる。


その表紙に顔を上げてしまい、ぎこちなくゆっくりと振り返った。




「うお。なんつー顔してんだ」



「お…お帰り」




頭からタオルを被った瑠衣斗が、まだ濡れた髪から雫をこぼしながら苦笑いして私を見つめる。


その姿がやたら艶っぽくて、胸が苦しくて仕方がない。



「シャワー浴びてこいよ。スッキリするぞ?」



瑠衣斗はキッチンに入りながら言うと、そのまま冷蔵庫を覗き込み、ペットボトルのミネラルウォーターを取り出した。



白いTシャツがやたらと栄えて見えて、瑠衣斗の整った顔を更にハッキリとさせているようだ。


思わず無心に見つめてしまう程、私の目を奪って離さない。



「…もも、見つめすぎ…」



「え…あっ、いやっ…わ、私シャワー浴びてくる!!」
< 138 / 251 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop