いちごいちえ
「…ももちゃんになりたいよ〜…」
思わず漏れた独り言が、弱々しくて情けなくなる。
これからどうなっちゃうんだろう。
どうすればいいんだろう。
……しまった!!美春に電話でもしとけば良かった!!
…い、いや…それはマズいかも……みんなにバレちゃう……
って!!バレちゃうって何が!?
って!!!!私なに!?その気満々!?
いやいやいや、違う違う違う……。
頭を抱えたくなる自分の思考に、呆れて溜め息が出る。
るぅが言うのは、私を大切にしたいって事で。
今のこの時間を、大切にしたいからで。
だからこそ、歯止めが利かなくなっちゃうんだ。
だったら私は…どうするべきなんだろう……。
ガチャリと扉が開く音がして、大袈裟な程体が飛び上がる。
その表紙に顔を上げてしまい、ぎこちなくゆっくりと振り返った。
「うお。なんつー顔してんだ」
「お…お帰り」
頭からタオルを被った瑠衣斗が、まだ濡れた髪から雫をこぼしながら苦笑いして私を見つめる。
その姿がやたら艶っぽくて、胸が苦しくて仕方がない。
「シャワー浴びてこいよ。スッキリするぞ?」
瑠衣斗はキッチンに入りながら言うと、そのまま冷蔵庫を覗き込み、ペットボトルのミネラルウォーターを取り出した。
白いTシャツがやたらと栄えて見えて、瑠衣斗の整った顔を更にハッキリとさせているようだ。
思わず無心に見つめてしまう程、私の目を奪って離さない。
「…もも、見つめすぎ…」
「え…あっ、いやっ…わ、私シャワー浴びてくる!!」