いちごいちえ
「ね、るぅ?どうしたの?」
「…う、うん」
いや、そこは"うん"じゃなくて…。
ホントに、るぅどうしちゃったんだろ?
頭の中が"?"だらけの私に、ようやく視線を止めた瑠衣斗が私を見つめる。
なんだか打って変わって真剣な様子に、今度は私が視線を下げてしまいそうになった。
「…やっぱまた今度にする」
「…は?」
また今度?
また今度って…なにが??
そう言えばつい最近も、こんな感じの会話をしたような気が……。
思い出そうとした所で、瑠衣斗が私の腰に腕を回し、力強く引き寄せる。
突然の出来事に身を固めてしまうと、瑠衣斗が私をぎゅっと抱き締め、頬と頬を擦り寄せるようにしてくっつけてきた。
滑らかな肌触りと、近すぎる距離感に胸が苦しい。
「あぁ〜もー!!寝るぞっ!!」
「ええぇっ?」
一体なんなの!?るぅどうしちゃったの!?
訳分かんないよ!!
瑠衣斗が何を伝えたいのか、何をこんなに瑠衣斗をおかしくしてしまうのか、今の私には当然ながら全く予想すらつかなかった。
内心、やっぱりまた我慢させちゃってる?
なんて思ったが、どうもそれとは様子が違うような気がした。
当然のように私を横抱きにした瑠衣斗が、そのまま寝室へと向かう。
びっくりしたままの勢いで、瑠衣斗の首にしがみついてしまったが、やっぱり瑠衣斗の様子が気になって仕方なかった。
訳の分からない瑠衣斗の様子と、突然の場面変更に対応しきれなかった私は、そのまま戸惑うしかなかった。