いちごいちえ
封想
眩しい光に、うっすらと目を開けた。
カーテンの隙間から、私の頬へと細い光が照らしている。
あれ?ここは……。
まだ働かない頭のまま、周りの様子を伺う。
一瞬自分が今どこに居るのかも分からず、記憶を呼び起こそうとした所で、暖かい温もりと重みにハッとした。
そうだ。るぅのマンションに来てたんだ。
恐る恐る顔を向けてみると、そこには穏やかな寝息をたてる瑠衣斗が居て、ぐっとのどが詰まる。
しっかりと私を抱き締めたまま、少し幼く感じる寝顔に胸が跳ねた。
結局昨晩は、疲れていたせいか、ベッドに入った途端に瑠衣斗が穏やかに寝息をすぐにたてしまい、気を張っていた私は呆気に取られてしまったのだ。
やっぱり、あれだけ長時間朝から運転していれば、さすがにクタクタだったよね。
そっと額に掛かる髪を払いのけ、瑠衣斗の艶やかな頬を撫でる。
そんな無防備な寝顔に、思わず微笑が浮かぶ。
いつもは何だかやたら偉そうで、図体だけじゃなく態度もでかいし、減らず口ばっかりなのに。
寝顔は本当に可愛いなあ……。
長い睫毛に通った鼻筋。
少し薄情そうな唇さえも、私を釘付けにして離さない。
何時間でも眺めていれるその表情に、胸がキュンとして堪らない。
それと同時に、何故か胸がざわついて仕方がない。
こうして瑠衣斗が隣に居るのに、何か別のモノが私を飲み込んでしまうような感覚がした。