いちごいちえ
少し古い映像に、映画そのものが古いのだと安易に予想がつく。
意外な瑠衣斗のセレクトに、意外な一面を発見したようで嬉しく思った。
初めは隣の瑠衣斗が気になって仕方なかったのに、ストーリーが進につれてどんどんと引き込まれていく。
でも、時折足を組み替えたり、体勢を変える度に動く瑠衣斗に、そのたびにドキドキと意識を持って行かれてしまう。
でもそれもほんの一瞬で、気が付けば再び映画の世界へと引き込まれていた。
どれくらい時間が経っただろうか。
クッションを抱き締めて画面を眺めていると、ふと視線を感じた私は、そのまま恐る恐る顔を向けた。
予想通り瑠衣斗と目が合い、飛び上がる程驚きそのまま身を固めてしまう。
自分の心臓の跳ね上がった鼓動にさえも、自らが驚いてしまう程に。
えっ……いつから見られてたんだろう!!
見られていた事にも驚いたが、同時に恥ずかしくて顔が熱くなる。
変な顔見られてたかも。
ニヤニヤとかしてたかな!?
「な…なに…か?」
一向に口を開かない瑠衣斗に耐えきれず、恐る恐る口を開く。
じっと見つめる瞳が真剣で、綺麗な瞬きに吸い込まれそう。
ソファーにもたれ掛かるようにして顔だけこちらに向けた姿が、やけに色っぽく見える。
少し見下ろしたせいか細められた瞳に、ドキドキと胸が鼓動した。
「何度も観てるから見飽きた…だから、もも見てる」
微かに浮かんだ口元の笑みに、完璧に釘付けにさせられた。