いちごいちえ




ドキドキと、自分の物ではないような胸の鼓動が、全身に響き渡る。



髪に手を入れられ、優しくかき混ぜるような手つきに、背筋がゾクリと粟立つ。



段々と深みを増すキスに、頭はすっかりぼんやりとさせられてしまう。



体中が痺れるくらい、全身の血液がぐるぐると回る。



壊れてしまいそうな程、胸がドキドキと鼓動しているのに、体には力が入らない。



気持ちは焦るばかりでも、そんな気持ちも瑠衣斗によって掻き消されてしまう。



どうしよう。

どうしたらいいんだろう?

私、このまま……。



「んっ、ふあ…」



「もも…」




背中を直接なぞられ、体がビクンと跳ねる。


衝動的な何かが私を突き上げるようで、このまま押し流されてしまおうか、と脳裏を過ぎっていく。


私の名前を呟く甘い声が、脳を麻痺させる。


瑠衣斗の手が、私から理性を拭い去っていく。



そんな時、胸の締め付けがなくなり、無理やり意識を引き戻された。



「あ、る…っん」



「…待ては無し」



呟くような熱っぽい囁きと共に、ソファーへと押し付けられる。


それと同時に、首筋に感じる甘い痺れに身をよじった。



「あっ…」



呼吸が乱れ、視界がぼやける。



瑠衣斗の熱い体温と、全身に伝わる重みを受け止めた。
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