いちごいちえ





「だから、力抜けよ」



ようやく唇を解放されても、私の呼吸は浅く短い。


そんな私に対して、耳元で呟かれた瑠衣斗の言葉に、力無く顔を横に振る。


ぐっと堪えていないと、意識が今にも飛んでしまいそうだ。


まだまだ慣れない感覚に、どうすればいいのかも分からない。


歯を食いしばってしまう私を、瑠衣斗が容赦なく攻め立てる。



息も絶え絶えな中、瑠衣斗の首筋へとしがみついた。


手放してしまいそうな意識を、必死に掴む事で精一杯だ。



「は…っあ、もぉやあっ」



「もも…可愛い」



耳をなぞる唇と、瑠衣斗の吐息を感じた瞬間、体が軽くなった。


頭の中が真っ白になり、息が止まる。


自分が今どうなっているのか、何をされたのか、考える余裕なんて全くなかった。


ただただ、感じた感覚に身を任せた。



波が引くように、熱い感情が穏やかになる。


ただ無気力さが全身を襲い、体に力が入らない。


私の顔を覗き込む気配に、うっすらと目を開けた。



肩で息をする私を、瑠衣斗が愛おしそうに見つめている。


私の額にかかる前髪を、瑠衣斗が優しく払う。


そのまま頬に手を添えられると、唇を再び塞がれた。



過ぎ去ったはずの情熱が、瑠衣斗によって簡単に再び火がつく。


瑠衣斗の手のひらが肌を撫でる度に、全身が敏感に反応した。
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