いちごいちえ




「やべぇ…悪いけど、もう無理」



切羽詰まったような瑠衣斗の言葉に、胸がキュッと縮む。


うっすらと汗を滲ませた胸に手を当てると、瑠衣斗の鼓動は驚くほど早かった。


一気に緊張感が胸に広がり、ドキドキと高鳴る。




ど…どうしよう。

ついにこの時が来たんだ。




覚悟を決め、グッと目を閉じる。


とにかくどうすればいいのかも分からずに、目を固く閉じた。


だが、いつまで経っても瑠衣斗の動く気配がしない。



それどころか、一切動きを止めてしまった瑠衣斗を不思議に思い、ゆっくりと瞼を持ち上げた。



あれ…どうしたんだろ…。




「…あ〜…、しまった…」



「……え…?」



ところが、予想外すぎる瑠衣斗の言葉で、私は簡単に目を開けた。



え?え?

なに?

なにがしまったなの??



目の前の瑠衣斗は、私と目が合ったかと思うと、盛大な溜め息と共にうなだれる。


それはもう、本当に苦しそうに。



「あの…?」



恐る恐る声を掛けてみるが、瑠衣斗はピクリとも動かない。



「る、るぅ…?」



「ゴム、寝室」



「……!!」



「…あ〜…雰囲気ぶち壊し…だよな」




何とも答え辛い言葉に、私はただひたすらに赤くなるだけだった。
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