いちごいちえ
「つーかよお…なんで帰ってんのバレてんだよ…」
「お前らこそー!!帰ったら帰ったぐらい連絡しろおー!!」
「…どうせ由良だろう」
「こっちにはお前の両親も来てるしなあ。間接的に情報は仕入れた」
な、なるほど……。
由良さんから、こっちに連絡が入ったんだ。
それで今日、突撃しに来たって事ね。
ようやくここで、寝室まで入って来ない様子に、肩の力をそっと抜いた。
経緯が分かり、龍雅と宗太が寝室まで入って来る様子もなく、ほっと気が抜ける。
「それにしても、随分遅い昼寝か?ダブルもも」
「丁度いい。龍雅、ももの散歩してきてくれ」
「はあ!?雨降ってんじゃん!!てゆーか俺に行かせちゃう!?」
「きっともも連れてたらモテモテだぞ〜。なあ、るぅ」
「やべえぞ。帰ってこれねーかもな」
「…え、そ〜お?」
相変わらずな突っ込みどころ満載のやり取りに、鼻で笑ってしまいそうになる。
ここでこんな姿で身を潜めている事に、なんだか可笑しくも思うが、瑠衣斗のベッドの中だと思うとドキドキして心地良い。
こうして自分が居る事が、何だか瑠衣斗に特別に想われているようで嬉しく思う。
幸せな思いに包まれ、何だか瞼が重くなってくる。
自分の体温で暖まった布団に、瑠衣斗の香りがして抱き締められているようだ。
「よし!!行くぞもも!!起きろ!!」
「頼んだな、龍雅」
元気良く足音を引き連れて、龍雅が部屋を出る。
雨足はまだ弱まる気配はないが、いつもと違い、不思議と心地良く感じた。