いちごいちえ
「なんだよ、笑うんじゃねえよ」
「だって…そんな真面目に…」
布団にくるまりながら、可笑しくて顔を埋めながら小さく笑う。
こうして瑠衣斗がそばに居る事が、私にとって心に大きな変化を齎してくれているようだ。
「あ…ねえ、宗太と龍雅は?」
「うん、何かもも連れて買い出し行った。ここで飯食ってくらしい」
「そうなんだ?…賑やかになるね」
こんな日に、誰かと過ごすなんて何年ぶりだろう。
それがまた、大好きな人達だと思うと、嬉しくてたまらなかった。
何も言わないけれど、こうして過ごしてくれる事が、心からありがたい。
穏やかな微笑みを浮かべる瑠衣斗が、優しく私の髪をすくう。
そのまま頬を撫でてくれる手に、そっと自分の手を重ねた。
大きな手のひらの温もりが、そんな私の指を絡み取る。
そっと屈み込んだ瑠衣斗に、私はゆっくりと目を閉じた。
優しく重ねられた唇は、すぐに離されてしまう。
目を薄く開けてみると、瑠衣斗が眩しい物を見るように目を細めている。
言葉はないけれど、心で繋がっているようで胸が暖かい。
伸び上がり、両手を出して瑠衣斗の首に腕を回すと、ぐっと引き寄せた。
手の中の確かな温もりが、愛おしくて堪らない。
「また…怖い夢でも見たかと思った」
唇の隙間から、瑠衣斗の掠れた声が漏れる。
瑠衣斗が心配してくれたんだと思うと、胸が苦しくなる。
こんなにも想われて、心配までしてくれて……。
どうしたら私の気持ちが、瑠衣斗に全部伝わるのだろうか。