いちごいちえ




「ぶっ…面白すぎるっ…」



体を解放してくれた瑠衣斗が、体を折るようにして笑い出す。


そんな様子に、私は頬が膨らみ、睨み付けながらも手早く衣服を身に付ける。



もお最低!!

なによ!!余裕かましちゃって!!



どーせ私は余裕ないですよーだ!!



とは口にはせずに、心の中で叫んでおく。


口にすれば、後でどんな事されるか分からないからね。



「はは…はあ、そんな睨むなよ」



目元の涙を指で拭いながら、瑠衣斗が息を整える。


対照的に、私の眉間の皺は緩くなる事はない。



悔しくて恥ずかしくて、瑠衣斗から視線をそらした。



「ごめんって…あんまり可愛かったから、またすぐ見たくなった」



でも結局、またすぐ視線を上げてしまう。


優しく微笑む瑠衣斗が、屈んで私の頭を撫でてくれる。


大切に、優しく触れる手のひらに、いつの間にか胸が穏やかになっていく。



本当にこの人は、どれだけ私を翻弄すれば気が済むのだろう。


そんな事言われると、嬉しくなっちゃうよ。



「俺だけが知ってるって思うと、何度も見たいって思っちゃうんだけど」



嬉しくない訳がない言葉に、私は益々瑠衣斗の虜になってしまうんだ。


振り回される事が、それが心地良い程に。



「ももの、感じてる顔が」



「なっ…そーゆう事は言わないでってばー!!」


遊ばれてるに違いないけれど。

でも。



これくらいが、私達らしいのかもしれない。



「るぅのバカ!!変態!!オヤジ!!ハゲ!!」



「だから親父ハゲてなかっただろ!?しかもオヤジって増えたな」



「るぅだけハゲてしまえ!!」
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