いちごいちえ
淡月
「帰ったぜーい!!…お?起きたか〜」
「お帰り〜お腹すいた」
「このやろう!!今まで寝てたんだろーが!!」
帰ってきた龍雅に、ひとまず言葉を掛ける。
ついでに思っていた事まで飛び出し、早速絡まれた。
後から続くように、その後ろには穏やかな表情の宗太と、大きなももちゃんが部屋に入ってくる。
内心、こうして瑠衣斗と付き合うようになってから、瑠衣斗の部屋に居る時に龍雅達と会うと言う事が、照れ臭い。
押し掛けられたと言う形にはなるかもしれないが、まだまだ慣れなくて自分だけが意識しているような気持ちだ。
「宗太もお帰り」
「ってやっぱり無視かーい!!」
「お〜。ただいま〜」
可哀想な龍雅はこの際いつもの事なので、あえてスルーしておく。
私の言葉に、宗太はいつものように返事をしてくれ、それから瑠衣斗に視線を向けた。
「るぅ、俊と美春も来るから」
「そうか。りょーかい」
え!!美春が来るの?
思わず嬉しくなって、自然と頬が緩んでいく。
いろいろと話したい事や、相談したい事が沢山あった私にとって、美春は正に強い見方だ。
「…もも、顔ちょー笑顔」
「そんなにるぅと2人っきりは嫌なのぉ〜?」
「嫌じゃないし!!ただ美春にちょっとそ…じゃ、な…くて」
思わず相談と口走りそうになり、慌てて言葉を濁す。
でも、それに代わる良い言葉が思い付かなくて、あからさまに動揺してしまう。
「そ…?そ、って何」
「そ……素麺つゆって…なに使ってるかなあ…って…」
うぅ…我ながらなんて返答だろう…。
私の言葉に、あからさまに眉を寄せた瑠衣斗に、冷や汗が吹き出しそうになる。
そんな瑠衣斗とは対照的に、宗太が吹き出し、龍雅が笑いを堪えるように耐えている。
どうやら、瑠衣斗以外の2人には、お見通しのようだ。