いちごいちえ
「笑いすぎだろ……。で、なに作るんだ?」
「…そっ、素麺。ぶっ」
「だから…なんで笑うんだ?」
龍雅と瑠衣斗のやり取りを、宗太が苦しそうに笑って見守っている。
瑠衣斗がボケてくれるおかげて、すっかり私への話題もそれ、一安心だ。
本当に素麺を作るかどうかはさておき、そろそろ調理に取り掛からないと時間が遅くなってしまう。
いつまでも話し(笑い)続ける三人組に向かって、私は口を開けた。
「ねえ、ご飯作ろうよ。時間遅くなっちゃう」
そんな私の言葉に、ようやく笑いを引っ込めた龍雅と宗太に対して、瑠衣斗は尚も意味の分からないような表情を浮かべている。
ちょっと焦ったけど、とりあえずは誤魔化せたかな?
美春に相談できるだけしとかなきゃ……。
「そうだな。全員は要らないから、とりあえずはるぅだな」
「俺…?いや、とりあえず龍雅だけでいいだろう」
「おいっ!!るぅ!!なんで俺1人なんだ!!寂しいじゃねえかよぉ〜」
私の壊滅的な料理の腕を知ってか、私の名前は間違いなく上がらない。
乙女としては挽回したい所だが、自ら名乗り出るような腕がないので、それはそれで痛い所だ。
近付いて来たももちゃんの前に、しゃがみ込んで頭を撫でる。
大きな顔に、クリクリの瞳に自分を写して覗き込む。
「ももちゃんはいいね…料理出来なくてもいいもんなあ…」
話しかけるように呟くと、思い切りベロンと顔を舐められた。
まるで、慰められたような気になったのは、言うまでもない。