いちごいちえ
「…まあいい。龍雅、さっさと作ろう」
「やっぱり俺かー!!俺は高ぇぞ!!」
「体で払う」
「激しく拒否!!」
瑠衣斗と龍雅が騒ぎながらキッチンへと入って行く。
本当に素麺を作るかは分からないが、私と宗太は試食係りに回される事となった。
相変わらず仲良く騒ぎ続ける龍雅と瑠衣斗の声を背後に、私はソファーへと座った。
「よっこらせっ…と」
「よっこらせって、宗太おじさんみたいだよ」
「あ〜。そんな事言う?るぅにももが美春に相談事があるらしいぞ〜ってバラすぞ〜?」
「や、ダメ!!ごめんなさい!!」
慌てて速攻謝ると、宗太が怪しげにニヤリと微笑む。
思わずそんな姿に身構えてしまう程、その微笑みには迫力があってたまらない。
絶対に、宗太は悪魔の化身に違いないだろう。
「で?どうだった?プチ同棲は」
「プチ同棲って…。まあ…楽しかったよ」
本当は…るぅに一緒に住もうって言われて、これから同棲する事になるんだけどね……。
何となく照れ臭くて、自分からはその事についてはまだ言えず、言う事をやめておいた。
でも、ここで宗太からの話を誤魔化したり、話さなかったりすれば、私はまた脅される気がしてならないので、聞かれた事には素直に答える事にした。
瑠衣斗と龍雅は、仲良くじゃれ合いながら料理をしているので、こっちの様子には気付く気配もない。
きっと宗太は、それを見込んでこんな話を私にするのだろう。
「そうか。で?いつから一緒に住むんだ?」
「…え!?どうしてその話知…って………ぁ」
「ほー。そうなのか〜」
「…………。」
やっぱり、ここは素直に話しておいた方が、無難なのかもしれない。