いちごいちえ
「やっぱな〜。るぅが全然口割らないし、怪しいと思ってたんだ」
「そう…だったんだ」
「ももと同じ切り口で切り出したんだけど、あいつは簡単には引っ掛からなかった」
えっ。
宗太ってば、るぅにも私と同じ質問を振ったんだ…。
そんな話題にまんまと引っ掛かったのは、…私だったみたいだけど……。
「安心しろ。別にバラしたりしてネタにはしねえよ」
バラしたり、ネタなんかにはしたりはしないだろうけれど、宗太が言うと冗談が冗談に聞こえないから不思議だ。
なんとなく、瑠衣斗がまだ話さずにいた事に対して、不安が募る。
るぅは、まだ話すつもりなかったんだよね?
だとしたら…私バレちゃったけど、良かったかな……。
宗太達に話したくない訳でもなく、何となく言いようのない気持ちに胸が支配されていく。
…ヤバい。何かマイナスに考えだしちゃう。
モヤモヤと考え込みだした私を、宗太が少し眉間に皺を寄せて覗き込む。
突然現れたクリクリの瞳に、思わず驚いて体がピクリと跳ねる。
「び…びっくりした……」
「おいおい。何か変な事考えてないか〜?」
優しい笑顔で、宗太が微笑む。
そんな笑顔に対して、私は無理やりに笑顔を作る事で誤魔化す。
背後では賑やかな龍雅と瑠衣斗の声が、絶え間なく届いてくる。
そんな声を聞きながら、何となくモヤモヤとする気持ちを持て余した。
「あいつ、やたら秘密主義だからな」
「…るぅが?」
「うん。ま、あいつなりにいろいろ考えてんだろ。そんな暗い顔すんなよ」
言われてみれば、瑠衣斗は秘密主義だ。
きっと瑠衣斗なりにいろいろと考えていて、今はそれを模索しているのかもしれない。
不安になったり、そんな気持ち、必要ないのかもしれない。