いちごいちえ
優しく頭を撫でてくれる宗太に、涙が余計に溢れてくる。
今日と言う日を、こんなにも暖かい気持ちで迎えた事なんて、今までにない。
それでもみんなは、私のために、私の家族を想って、想像すらつかなかった事をしてくれていたんだ。
ありがとうや、ごめんねだけじゃ、足りない。
今の私の気持ちに合う言葉は、どう考えてみても見付からない。
そんな言葉も浮かばずに、もどかしい気持ちが膨らんでくる。
でも、言葉なんていらない気がした。
言葉なんてなくても、伝わっているような気がしたから。
「おーい、るぅのせいでももが泣いてるぞ〜」
「は…はあ!?えっ…な、なんで泣いてんだよ!?ええ!?俺のせい!?ちょ…っ宗太なに言ったんだよ!!」
宗太が後ろ向きに叫ぶと、瑠衣斗が驚いたように慌てふためきだす。
更には龍雅の爆笑する声も届いてきて、泣きたいやら笑いたいやらで私の顔はめちゃくちゃだ。
バタバタとこちらに近付くと、戸惑うように瑠衣斗が慌てている気配がひしひしと伝わる。
「どっ…どうした?なに?俺、なんかしちゃったっぽい?」
「とりあえず謝っとけば?」
こっそり宗太に聞いているようだが、動揺しまくってるせいで丸聞こえだ。
宗太に遊ばれてるなんて考えは、瑠衣斗にはないのだろうか。
「な〜んだよ〜!!るぅなにやらかしたんだあ〜?」
「ちげーよ!!なんもしてねえよ!!」
「だからとりあえず謝っとけよ」
「マジか!?ご、ごめん!!」
ホントに、バカすぎて涙が止まらないよ。
私は、素敵な物を手に入れた。
それはきっと、過去からもらった未来へのプレゼント。
かけがえのない、みんなの存在なんだ。