いちごいちえ
「……は!?う、嬉し泣き??」
こっちがびっくりする程の瑠衣斗の驚いた表情に、ますます笑いがこみ上げてくる。
途端に顔が赤くなり、照れと怒りを取り混ぜたような顔をして、髪を無造作にかきあげる。
「慌てん坊だな」
「うっせーよ!!だいたい宗太がややこしくしたからでだなあ、」
「てゆーか、素直に謝るような事でもしてんのか?」
「するかー!!!!」
完全に宗太に遊ばれている瑠衣斗だが、それにまんまと素直に反応してしまう所がまた可愛い。
龍雅はそんな会話を耳にしながら、背後で大笑いだ。
本気で焦った瑠衣斗、可愛いなあ。
宗太がいじめたくなっちゃうのも、分かるかも。
顔を真っ赤にして、宗太に立ち向かう瑠衣斗が、何だか健気に思えてくる。
こんなにも私の事に真剣で、本当に私の事が好きなんだと言う気持ちも伝わり、頬が緩みっぱなしだ。
「はは、んで?るぅナニやらかしたんだよ〜?」
「だからー!!俺は何もしてねえって!!龍雅だって好きな女が泣いてたら焦るだろう!!」
「お。なかなか情熱的な告白だな」
「も…っ、だーかーらー、宗太あおるなー!!」
瑠衣斗が何を言っても、龍雅と宗太には適うはずもない。
頑張って応戦しているようだが、瑠衣斗はそれに気付く事もない程慌てふためいるようだ。
私を置いてきぼりに、しばらくこんなやり取りが繰り返されていた所に、そんな騒ぎを裂くように呼び鈴が部屋に鳴り響く。
それはなんだか、第2ラウンドを開始する、合図のように思えた。