いちごいちえ




3人共、そんな音に一瞬会話を止めたが、すぐにまた瑠衣斗をからかいだす。


絶妙とも言えるコンビに、やっぱり瑠衣斗は太刀打ちもできず、顔を思い切りそらして玄関へ向かおうと背中を向ける。


そんな瑠衣斗に、やっぱり2人は容赦ない。



「あ、そうだもも。話し忘れてた事が…」



「だったら俺も俺も〜!!あのなあ、るぅって」



「お前らー!!!!」



怒涛の如く、やっぱり顔を真っ赤にした瑠衣斗が、勢い良く振り向く。


ネタなんてないと分かっているはずなのに、反射的に反応してしまう瑠衣斗は完璧に操られてしまっている。


いつまでもそんな会話を続けている内に、玄関が賑やかになり部屋に馴染みの顔がひょっこりと顔を出し、その後に続くようにして意外な人達までもが顔を覗かせた。



「親父!?お袋!?慶兄もどうしたんだよ!!てゆーか今日はなんなんだ!!」



「サプライズよ♪瑠衣♪」



「ももちゃん!!やっと会えたね!!」



美春と俊ちゃんの後に続くようにして、松風家が勢揃いだ。


思わぬ人達の登場に、瑠衣斗程ではないが、私まで驚いて目を見開いてしまう。


にこやかな笑顔で私を見つめるその表情に、素直に思いが口から飛び出した。



「え〜!!どうしたんですか!?」



「みんなで相談してね、押し掛けてみたんだよ」



お、押し掛け……。



笑顔のおじさんは、なんとも愉快そうにそう言う。


私は置いておいて、瑠衣斗を除くみんなが、してやったりと満足そうに笑う。


対して、バツの悪そうな表情をした瑠衣斗は、がっくりと肩を落としたのであった。
< 195 / 251 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop