いちごいちえ
3人共、そんな音に一瞬会話を止めたが、すぐにまた瑠衣斗をからかいだす。
絶妙とも言えるコンビに、やっぱり瑠衣斗は太刀打ちもできず、顔を思い切りそらして玄関へ向かおうと背中を向ける。
そんな瑠衣斗に、やっぱり2人は容赦ない。
「あ、そうだもも。話し忘れてた事が…」
「だったら俺も俺も〜!!あのなあ、るぅって」
「お前らー!!!!」
怒涛の如く、やっぱり顔を真っ赤にした瑠衣斗が、勢い良く振り向く。
ネタなんてないと分かっているはずなのに、反射的に反応してしまう瑠衣斗は完璧に操られてしまっている。
いつまでもそんな会話を続けている内に、玄関が賑やかになり部屋に馴染みの顔がひょっこりと顔を出し、その後に続くようにして意外な人達までもが顔を覗かせた。
「親父!?お袋!?慶兄もどうしたんだよ!!てゆーか今日はなんなんだ!!」
「サプライズよ♪瑠衣♪」
「ももちゃん!!やっと会えたね!!」
美春と俊ちゃんの後に続くようにして、松風家が勢揃いだ。
思わぬ人達の登場に、瑠衣斗程ではないが、私まで驚いて目を見開いてしまう。
にこやかな笑顔で私を見つめるその表情に、素直に思いが口から飛び出した。
「え〜!!どうしたんですか!?」
「みんなで相談してね、押し掛けてみたんだよ」
お、押し掛け……。
笑顔のおじさんは、なんとも愉快そうにそう言う。
私は置いておいて、瑠衣斗を除くみんなが、してやったりと満足そうに笑う。
対して、バツの悪そうな表情をした瑠衣斗は、がっくりと肩を落としたのであった。