いちごいちえ
なんてゆーか…血?なのかな。
初めて知る事実が、あまりにも衝撃的すぎて、若干理解しがたい。
更には。
「おまけに瑠衣までこっちで一人暮らしするって言い出すから、監視しやすいようここに詰め込んだんだよね」
「監視って何だよ…。何も悪さなんてしてねえだろうが」
え!?ひょっとして、ここのマンションもおじさんの持ち物だったりするの!?
え!!
何の事もなさそうに話す松風家の面々に、次元の違いについて行けそうにない。
言われてみれば、瑠衣斗が一人で住むには、高校生では住めないようなマンションだとは思っていたんだ。
でもこうして、意外にもあっさりとその謎が解けてしまった。
「知らなかった……。ビックリ…」
「別に…俺がもものおじさんの会社名知った時は、マジひっくり返りそうになったって」
「私一般ピープルだし」
「ももたろだしな」
よく分からない瑠衣斗の言葉に、かるく眉を寄せて瑠衣斗を見つめる。
そんな様子を、周りのみんなが楽しそうに眺めている。
ふっと口元に笑みを浮かべた瑠衣斗が、なんだか勝ち誇ったように見えて仕方がない。
そしてやっぱり、私は我慢できなくて口を開けてしまう。
「ももたろうだよ」
むすっとしたまま、思ったままの事を口にした。
だが。
私の言葉に大笑いし始めてしまったのは、瑠衣斗だけではなく、この空間に居る全員だった。