いちごいちえ
玄関まで付いていくと、最後に靴を履くおじさんとおばさんが振り返る。
少し私が立つ場所の方が高いが、やっぱり私は見上げる形になってしまう。
「じゃあももちゃん、大変だろうけど、瑠衣をよろしくね」
「い、いえそんな…」
謙遜して慌てて顔を横に振るが、おばさんもおじさんもとても優しく微笑み返してくれる。
「ももちゃんは連れて帰れないけど、ももは連れてくから、2人の時間を満喫するんだよ♪」
えぇ!?
は、恥ずかしすぎる……。
真っ赤になったまま何も言えない私の代わりに、瑠衣斗が小さく言葉を吐き出す。
その様子は、本当に恥ずかしそうに。
「お、親父…余計な事言うなよ……」
「るぅ、顔が真っ赤だぞ」
「ちょっ、宗太!!」
「なに〜!?ひょっとしてとうとう初…」
「あー!!ちっげえよバカてめ〜何言ってんだよ!!……あ」
龍雅が言葉を言い切る前に、瑠衣斗が慌てて言葉を遮る。
あぁ…るぅが墓穴ほっちゃったよ……。
いやらしい笑顔を向けた龍雅に、私まで瑠衣斗と並んで更に顔を赤く染めた。
おじさんとおばさん…慶兄の前で…龍雅は何言い出すのよー!!!!
ヤバい。本気で倒れそう。
「何だ?まだヤってないのか?」
「!?」
「あら、そうなの瑠衣?あんたやっぱりヘタレねえ〜」
「!?!?」
「そうなのか?早く自分の物にしないと、ももちゃん取られちゃうぞ」
この感覚は、私が間違っているんだろうか。
と、勘違いしてしまいそうな程、松風家はオープンらしかった。