いちごいちえ
そんな私を見て、瑠衣斗が更に深い溜め息を吐き出す。
どうしていいのかも分からずに、俯いて顔をしかめた。
もう、どうしたらいいんだろう。
恥ずかしくて目も合わせられないよ……。
瑠衣斗が近付く気配がして、思わず身を固める。
すると、クシャっと頭を優しく撫でられ、それに驚いて顔を上げてしまう。
バッチリ目が合うと、まだ少し頬が赤い瑠衣斗が、私をじっと見つめ、照れ臭そうに口を開く。
「…気にしなくていいから」
ぶっきらぼうだけど、私に気を使ってくれた瑠衣斗に、私は声も出せずに頷く。
心臓の音が、瑠衣斗にまで聞こえてしまうんじゃないかと思う程、激しく脈打つ。
何か言わなきゃと考えれば考える程、口が思うように開かない。
私がこんなんじゃ、るぅが気を使っちゃうのに。
でも、どうしたらいいのかな。
何も言えない私に対して、瑠衣斗が目を逸らしたまま小さく溜め息を吐く。
そんな姿に、一気に不安が押し寄せてきて、思わず縋りたくなる。
るぅを困らせたい訳じゃないのに。
何も言えない自分が、意気地なしに思えて悔しい。
そっと背中に手が回されると、導かれるようにリビングへと足を向ける。
優しい瑠衣斗の手の温もりに、申し訳なさが込み上げる。
なんか…ごめんね、るぅ。
「とりあえず、もう遅いし風呂でも入るか」
「あ…うん」
リビングに着くと、時計を見上げ瑠衣斗がポツリと呟く。
瑠衣斗の優しい声に、小さく私は答える。
そんな私の顔を、瑠衣斗が覗き込むようにして見つめると、目が合った瞬間に瑠衣斗がニッコリと笑った。
………あれ?
「一緒に入るか、風呂」
「…なっ……」
い…一緒に…って………。
打って変わって、いたずらっ子のように笑う瑠衣斗に、私はもう絶句するしかなかった。