いちごいちえ
まるで全てがスローモーションのように、目に映るモノが流れるように見える。
優しく顎に添えられた指先、間近で私を見つめる瞳。
風によって流される、サラサラの髪。
優しく囁かれた、私の名前。
そして、ゆっくりと伏せられた、長い睫毛。
触れられた唇が熱くて、その熱に当てられるように更に頬が熱くなる。
優しく何度も解されると、熱い舌で唇をノックされ、それが合図のように私はたまらず薄く唇を開けた。
「ん…っ、まっ…」
優しくかき混ぜられると、体に火が灯ったように芯から熱くなる。
息苦しさに酸素を求めて肩を押しても、その手さえも絡め取られ、抵抗できなくさせられてしまう。
全てを味わい尽くしてしまうように、何度も角度を変え、私の中を撫でていく。
いつの間にか添えられた後頭部の大きな手が、私を離す事を許さないと言うように、しっかりと固定されている。
瑠衣斗にキスされると、自分が自分じゃなくなってしまうようで、周りが全く見えなくなるんだ。
いつの間にか夢中にさせられていて、もっと欲しいと自ら瑠衣斗を求めている自分が居る。
多分きっと、お互いがお互いを求めてしまい、ブレーキが効かなくなってしまうんだ。
そんな中、瑠衣斗はいつも最後までしない。
「…やばいな」
少しも離れない内に、瑠衣斗がそう捲くし立てる。
でもほんの一瞬で、再び激しく塞がれる唇。
痺れる頭で瑠衣斗を必死に受け止めながら、止まれない衝動に抵抗も何もなかった。
頭では止めなきゃと思うのに、体はそれを抑える事ができない。
瑠衣斗に与えられる感覚に、私の理性は麻痺させられるんだ。