いちごいちえ




恥ずかしいのに、瑠衣斗に体中の力を奪われていくようだ。


でも、私の中では、恥ずかしさが何よりも勝っていた。



「〜〜!!お、お願い…電気消して!!」



「…は?何をいまさら…」



「あと自分で洗いたいっ」



まくし立てるように、用件だけを早口に言うと、恥ずかしさで顔を覆った。



呆れられても仕方ない。

恥ずかしい物は恥ずかしいもん…。



「くっ…必死…変な事はしないよ」



「へっ…当たり前でしょう〜!!」



言いながらも、瑠衣斗は手を休めない。

それどころか、どんどん私を泡だらけにしていく。


指の間から、そっと目を開けてみると、嬉しそうな表情をした瑠衣斗が目に飛び込む。


ふと目が合うと、そんな表情から、瑠衣斗が優しく微笑んでくれた。



「ももってさ、スポンジみたいだよな」



「は?す…スポンジ??」



手を動かしながら言う瑠衣斗の言葉が、あまりにも意味不明なモノで、素直に聞き返す。



スポンジ?スカスカで中身がないって事?



そう自分で考え、少しむっとする。


むっとした私を見た瑠衣斗が、今度は楽しそうに笑いながら言葉を繋げた。



「心をスポンジにして、何でも吸収するんだ。昔から、ももはそうだった」



「…え?どうゆう事?」



いまいち理解できない私は、本当に頭がスカスカになってしまっているのかもしれないな。なんて思いながら。



「素直って事。いや、素直じゃないな」



「は?」



「一生懸命、て事かな?何でも吸収しようとする所」
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