いちごいちえ




え?

それって…褒めてもらってる?



「ほれ、足開けろ」



「…うん」



「なんだよ急に素直すぎるな」



「…が!!違う無理ごめんなさい!!」



自分の考えに没頭するあまり、瑠衣斗の言葉の意味も理解しないまま、何の気なしに頷いてしまった。


慌てて否定するものの、顔が熱くなるのは隠せないままだ。


瑠衣斗はと言うと、やっぱりそんな私を楽しそうに笑っている。



「やだやだ!!恥ずかしいよお!!」



「だから、いまさら照れなくても…」



「照れるでしょう普通!?」



こんなに明るいし!!

こんなシチュエーションだし!!

こんな体勢だし!!



身を固めてみるが、石鹸のせいで素肌を瑠衣斗の手がスルリと滑る。



恋人同士って、みんな一体なにしてるの!?


恥ずかしくないのお!?



「分からず屋…素直に言うこと聞けばイジメないのに」



「ひゃうっ」



「ももが悪いんだぞ。可愛すぎるからだ」



「ふ…るぅっ、やだぁっ」



瑠衣斗の優しい手の動きに、嫌でも体が反応してしまう。


瑠衣斗の腕を抑えてみても、力が抜けて何の抵抗にもならない。


浴室に響く自分の声が恥ずかしくて、唇をぐっと噛み締めた。


そんな私の唇を、優しく啄むようにしてキスを落とす瑠衣斗に、私は思い通りにさせられてしまっているんだ。
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