いちごいちえ
当たり前のように、次には瑠衣斗が私の髪を拭いていく。
優しい手つきに、気持ちがふわふわしちゃう。
「ん?眠いのか?」
「…ううん。気持ちよくて」
人が居ると言う安心感。
今までは、1人でも平気だったはずなのに、私はすっかり1人じゃダメになってしまったんだ。
それもこれも、全部瑠衣斗のせい。
みんなのおかげ…?なんだろう。
瑠衣斗の低い声が、物凄く心地良い。
反面、ドキドキしちゃうけど。
「なーんか…未だに不思議な感じがする」
「…不思議な感じ?」
ポツリと呟いた瑠衣斗の言葉に、オウム返しで聞き返す。
チラリと目線を上げてみても、私はタオルで頭を覆われているせいで、その表情は伺い知れ無い。
少しだけ、瑠衣斗が笑ったような気配がしたけれど、それすら分からなかった。
「こーやって、普通に一緒に居る事が」
「…え」
私の小さな呟きに、瑠衣斗が手を止める。
それにつられ、思わず顔を上げてみると、タイミング良く瑠衣斗が顔を覗き込んできた。
思ってもみなかった事に、思わずピクリと反応すると、瑠衣斗がふわりと笑みを零す。
状況も把握できないまま、目をパチクリして戸惑う私を、やっぱり瑠衣斗は優しく見つめる。
「付き合ってんだよなあ…。俺の彼女か…。ぜってー離さねー」
「ふ…え……えっと〜」
えっ!ちょっ…な、何て言えばいいの!?
嬉しい…けど恥ずかしい!!
「離れるなよ?」
顔が熱くなるのも気にできない程、嬉しさと恥ずかしさに支配される。
瑠衣斗の問い掛けにも答える事ができないまま、私は思わずタオルで顔を覆った。