いちごいちえ




完全に思考回路がショートしてしまい、反応すらできない。


きっと間抜けな顔をしているだろうが、今は気にしていられない程の感情だ。



そんな私に向かって、笑顔の瑠衣斗が屈んで顔を近付けてくる。


目で追うしかない私は、身動きが取れず固まったままで居ると、瑠衣斗が軽く私の唇にキスを落とした。



触れるだけの、軽いキス。



それだけで、とろけてしまいそうな程、胸に甘さがいっぱいに広がる。



あぁ、もう…本当にるぅには適わないよ。

どうしよう。すっごく好き。



この気持ちを言葉で表せるなら、全て吐き出してしまいたい。




でも、恥ずかしくてできないんだけどね。



キスを落とした瑠衣斗は、顔を近付けたまま私を見つめる。


吸い込まれそうなその瞳には、頬を赤く染めた私だけが写り込んでいる。



「だから〜、そーゆう目で俺を見るな」



「…るぅが見るからでしょう」



「……見たいから見てるんだろーが」




あぁもう…反則だってば……。



頭から被ったままのタオルごと、私の頭を瑠衣斗が優しく包み込む。


そのまま引き寄せられると、自然と唇が重なった。


甘くとろけるような口付けに、頭がぼーっとしてくる。


ふわふわとした感覚に、体から力が奪われていくようだ。



「本当に…覚悟しろよ」



唇を少し離しながら、瑠衣斗がそう呟く。


何かを言い返そうと思っても、その考えはすぐに瑠衣斗によって吹き飛ばされてしまう。



私が息苦しさに瑠衣斗の体を押し返してみると、それに答えるように瑠衣斗はようやく唇を解放してくれた。


肩で息をする私を見つめ、ふっと瑠衣斗の口角が持ち上がる。


少し妖しい微笑みが、やけに艶っぽく見えてしまう。



「次はやめてやらないからな」



そんな言葉に、まるで猫のように、全身が毛が逆立ったようだった。
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