いちごいちえ




瑠衣斗の指先が、私の体のラインを確かめるように、優しく滑る。


触れられた場所から、私は溶けていくような感覚に包まれる。



その感覚から逃れようと、体に力が入ってしまう。



もちろん、そんな私を瑠衣斗が見逃す訳がない。


分かってはいるのに、どうにもならない自分の体に、雑念が混ざってしまう。



うう…私、このままじっとしておけば…いいの?


どう……どうしよう。。




「…くっ、もも?」



「ふ?!えっ?!」



「目、思いきり閉じすぎじゃないか」




気が付くと、私は固く目を閉じていた。


力一杯に拳を握り締めていた私の手に向かって、腕からゆっくりと瑠衣斗の手が触れる。



ドキリとするほどの瑠衣斗の体温に、徐々に力が抜けていく。


そっと指を絡め取られたかと思うと、握り締められた右手を持ち上げられ、指先にキスを落とされた。



ドキドキしたまま瑠衣斗を見上げていると、ふっと瑠衣斗が微笑む。


乱れた髪に、服。


はだけた胸元が、何とも妖艶だ。



「俺、余裕ない。めちゃくちゃ緊張してる」



「緊張…してる?」



「…ん。ほら」




はにかんだ笑顔から、指を絡めたまま引き寄せられた手に視線を向ける。



「……あ…」



手の甲に感じる、瑠衣斗の体温。

そして、速く強い鼓動。




「…な。だから、ももと一緒だ」



そう言って照れ臭そうに笑う瑠衣斗につられてか、思わず頬が緩んだ。
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