いちごいちえ




優しいキスに、肩の力を抜く。


瑠衣斗の大きな背中を、優しく抱き締めた。




「…っ!あ…っ」




押し広げられるような、感じた事のない痛みに、きつく瑠衣斗にしがみつく。



「……止めるか?」



そんな言葉に薄く目を開けてみると、切なげに眉を寄せた瑠衣斗が目に入る。


言葉も出せずに、私は大きく横に頭を振る。




「もも、無理しなくてもいい…」



なおもそう言う瑠衣斗に、私はゆっくりと口を開ける。



「お願い…やめないで」




何か言いたげに口を閉じた瑠衣斗が、私の唇を塞ぐ。



ゆっくりと、瑠衣斗が時間をかけて私と距離を詰めていく。



瑠衣斗から漏れてくる息遣いが、少しずつ乱れる。



何だかその事が嬉しくて、痛みに構えていた体の力が、ゆっくりと抜けていく。




そして、私と瑠衣斗とを隔てる距離は、何も無くなった。




顔を上げた私に、瑠衣斗が優しく微笑みかけてくれる。


それがもう、嬉しくて嬉しくて堪らなかった。


額の汗で張り付いた私の前髪を優しく払うと、瑠衣斗がちゅ、と小さな音を立ててキスを落とした。




「頑張ってくれて、ありがとう」



「…え?」



「今日は、これだけで十分だ」




本当にもう…るぅは……。



どれだけ私を、大切にしてくれてるのよ……。



「私は満足してないよ…。るぅ、我慢しないで」



一瞬大きく目を見開いた瑠衣斗は、切なげに目を細めると、ポツリと呟いた。



「バカ…マジで俺の理性飛ばしてどーすんだ……」
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