いちごいちえ
大輔さんは5人程でお祭りにやって来ているようだったが、どうもその他の人達も、瑠衣斗とは顔見知りのようだ。
数人、あの宴会で見知った顔もあり、なにやらみんながみんな、それぞれ瑠衣斗に絡んでいるからだった。
こうして見ると、やっぱり瑠衣斗はみんなに可愛がられているなと再確認する。
口を開けば嫌みしかない瑠衣斗と大輔さんでも、お互いをよく理解し合っている事が垣間見える。
男同士の付き合いはよく分からないけれど、終始穏やかな気持ちで見守っていたあたり、なんだか凄く楽で居心地がよかった。
「すっかり有名人だぜ〜?ももちゃん」
「え…?有名人?」
有名人になる理由なんて分からず、でもきっと、あの宴会の時かな…なんて思い当たる節がある。
その時の事を思い返すと、恥ずかしいやら照れるやらで顔が熱くなってきてしまう。
変なヤツって思われたらどうしよう。
ダメダメ。なにも考えるな〜。
「瑠衣の調教師。瑠衣の嫁さんだってさ」
「なっ…!!」
もう、どこをどう突っ込んでいいかなんて分からない。
気持ちを落ち着かせようと努めた矢先に、このセリフ。
赤くならない訳がなかろう。
なんでお嫁さん!?そもそもなんで!?
付き合ったばっかで、周りではもうそこまで話が進んでるの!?
てゆーか、調教師って……。
やっぱりるぅって、猛獣かなんかなのかな……。
私の様子に、嫌みでない笑い声を上げる大輔さんより、隣で無言の瑠衣斗がやけに怖かった。