いちごいちえ
甘い余韻が残る中、瑠衣斗が私を抱き締める。
トクン、トクンと、穏やかになる瑠衣斗の鼓動を、胸で感じる。
言葉も無くても、この温もりだけで私は幸せを感じるんだ。
「やべえ…」
「…え?」
私を抱き締めたまま、私の首筋に顔を埋めたままの瑠衣斗が、ポツリと呟いく。
熱い吐息が首筋にかかり、思わず震えてしまう。
すっと顔を上げた瑠衣斗が、私を見下ろす。
その表情は、とても穏やかで、とても優しい。
「幸せすぎてこのまま繋がってたいんだけど」
「…え!?や、あの…」
意味を理解した私は、恥ずかしさに顔が熱くなる。
オロオロと挙動不審な私を、瑠衣斗が優しい笑顔で幸せそうに笑う。
嬉しいような、恥ずかしいような。
くすぐったい感情から、まさに今この状態を考えると、どうすればいいかも分からない。
私にはそんな免疫があるはずがない。
クスクスと瑠衣斗は笑うと、ゆっくりと私から降りる。
目で追うしかない私の隣に横になると、口元に笑みを浮かべた瑠衣斗が私に視線を向ける。
私の頬を優しく撫でると、私はそっと目を伏せる。
大きな手のひらの温もりに、一つに重なれた喜びを改めて実感した。
「その…大丈夫か?」
「ん…?」
「……痛そうだったから」
心配するように私の瞳を覗き込む瑠衣斗に、頬が緩む。
女が痛みに強いのは、きっと、その痛みすら喜びに変わる痛みがあると言う事を、知っているからなんだね。
それを教えてくれたのは、紛れもなく瑠衣斗だ。
満たされた気持ちのまま、私は瑠衣斗に微笑みを返した。