いちごいちえ
「うん…痛かった……けど、またしたい」
「…お、おう。……え!?あ、うん…」
私の言葉に、よほど驚いたのか、瑠衣斗がどもる。
でもすぐに、優しく微笑んでくれた。
「結局無理…させたな。その…本当に大丈夫…か?」
なおも心配する瑠衣斗が可笑しくて、顔が緩んで仕方ない。
本当は、結ばれた後は、もうちょっと甘い時間を想像してたんだけどな…。
なんて、言葉にする気もない。
「ちょっとまだ痛い…けど、幸せ」
「……。」
私がそう言うと、瑠衣斗が黙り込んでしまう。
目も逸らされてしまい、私と目を合わせようとしてくれない。
…あれ?どうしたんだろう?
そう思い、顔を覗き込む。
「…るぅ?」
「う、いや…何か今更めちゃくちゃ実感が沸いてきた…っつーか…」
「実感?」
私が聞くと、照れたように頬を赤く染めた瑠衣斗が、私を見つめた。
「幸せって、こーゆう気持ちの事を言うんだなんだな〜…って…」
同じ気持ちだった事に、嬉しくて瑠衣斗に抱き付く。
広い胸に頬を寄せ、背中をギュッと抱き締めた。
それに応えるように、瑠衣斗が私を抱きしめ返してくれる。
「ぜってー離さねえ」
「うん」
「マジでももが居なきゃ無理」
「うん」
「……卒業したらさ、」
「…るぅ?」
言葉を区切った瑠衣斗を不思議に思い、顔を上げた私の瞳に、真剣な表情をした瑠衣斗が写り込む。
でもそれは、すぐに崩され、ふわりと瑠衣斗が笑った。
「…何でもない」
「え?何?気になるでしょう?」
「めちゃくちゃ気になっとけ」
「なにそれ!!」
こうして、私達の長い夜は、更けていった。