いちごいちえ




「や〜っべえ〜…俺の体、おかしいのかも」



「ん…、おかしい…?」



「一晩中、お前が寝てからも熱が冷めなかった」



「……え?るぅ風邪ひいちゃった?」



ビックリして思わず瑠衣斗との距離を取ると、一瞬目を見開いた瑠衣斗が、途端に諦めたようにガックリと肩を落とす。



あれ?私、変な事言ったかな?



「お前は…はあ、俺格好悪ぃ……」




不思議に思う私を、瑠衣斗が溜め息混じりに口を開く。



カッコ悪い?私が?意味が分かんない…。

るぅはカッコ悪くないのに。

こんなにも、私の心を掴んで離さないのに。


風邪を引いた事が、格好悪いって思うのかな?

それとも、風邪のせいで気が弱くなっちゃったのかな。




そう思った私は、また素直に口を開ける。



「なんで?るぅは格好いいよ」



「………。」



「それより!熱あるんでしょう?我慢なんてしちゃダメ」




私に向き合っていた瑠衣斗の肩を押して、仰向けにゴロンと向かせる。


何か薬がないかと思い、ベッドから抜け出そうと体を起こす。



でも、私はベッドから抜け出す事はできなかった。




瑠衣斗が私の腕を掴み、強く引き寄せる。


その反動で、覆い被さるように私は瑠衣斗に倒れ込む。



瑠衣斗の熱い体温が、私の下にある。


私を見上げた瞳は熱く、子犬のように潤んでいた。




「…じゃあ、我慢しない」
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