いちごいちえ
……え?あれ?
突然の出来事に、頭が付いていかない。
倒れ込んだ勢いのまま、思わず私は瑠衣斗にしがみついていた。
あ、朝から刺激が強すぎるー!!!!
ハッとした私は、手をついて瑠衣斗からどこうと肘を突っぱねる。
顔から火が出ているんじゃないかと思える程、熱い。
でもやっぱり、簡単に瑠衣斗から逃れる事なんてできなかった。
「うぅっ……」
「我慢、しなくていいんだろう?」
両方の手首を捕まれて、動きを止めた。
瑠衣斗が私を見上げているせいか、何だか私から瑠衣斗を襲っているようだ。
枕に散らばった瑠衣斗の髪が、瑠衣斗を余計に妖艶にする。
「言ったけど…それは風邪を……」
「風邪なんて引いてないよ」
「でも体が熱…い……」
そう言いかけた所で、ようやく意味を理解した。
私を見上げる瑠衣斗の瞳が、怪しく細められていく。
口角をゆるりと持ち上げる様は、なんとも色っぽい。
瑠衣斗が瞬きをする度に、長い睫毛に光が落ちる。
とろけるような甘い瞳の色に、酔ってしまいそうだ。
「俺が片思いしてた時、何考えてたか教えてやろうか」
恥ずかしさのせいで身動きの取れない私は、余裕たっぷりに薄く笑う瑠衣斗を、ただただ見つめ返すしかできなかった。