いちごいちえ
「…知りたくない?」
私を見上げているせいか、自然と目を細める瑠衣斗に、私の頭の中は沸騰寸前。
そんな風に言われると、よからぬ事を想像してしまうのは、きっと私だけではないはず。
唇をぐっと噛み締め、顔を横に小さく振る。
そんな私に対して、瑠衣斗が柔らかく微笑む。
でも、その目は妖艶で熱っぽい。
「う…お、起きないの?…朝だよ」
「勿体無いでしょうが」
身動きを取りたくても、しっかりと体に腕を回されているため身動きが取れない。
腰に回された腕に、ぐっと力が入る。
背中をなぞるように瑠衣斗の指先が徐々に上へと滑り、大きな手のひらが私の後頭部に回された。
「ん。キスして」
「〜〜っ!!は、恥ずかしい…」
引き寄せられ、すぐ目の前には瑠衣斗の顔。
少しでも動けば、唇が触れてしまいそうな距離にある。
は、恥ずかしすぎて……心臓が痛い。。。
「今更何を…もー無理」
「え!!っるぅ…っん」
奪うように重ねられた唇は、とても熱い。
恥ずかしさなんて、すぐに瑠衣斗によって掻き消されてしまう。
気が付けば、いとも簡単に体勢は逆転され、瑠衣斗が覆い被さってくる。
瑠衣斗の重みを全身で感じながら、熱い口付けに酔わされていく。
ようやく唇が離れた時には、私は酸素を求めるようにして肩で息をする。
膜が張ったように、視界には瑠衣斗がぼやけたように滲んで見えた。
私を見下ろしていた瑠衣斗が、また徐々に距離を詰めてきた。
その時。
部屋中に響くけたたましい着信音。
一瞬にして不機嫌そうに眉間に皺を刻んだ瑠衣斗が、盛大な溜め息と共に、ガックリと頭を垂れた。