いちごいちえ
「それに、間接的に俺を傷付けてもだ。男使ってももに手を出してもだ。ももに何かあっても、俺はももから離れねえよ。何かある前に全力で守るけど」
やっぱりるぅは、知ってるんだ。
あの時、駅で何があったかを。
瑠衣斗の言葉は嬉しいはずなのに、私は素直に喜べない。
人を好きになると言う気持ちは、私にも分かるから。
この幸せがあるのは、りなさんの報われない想いがあったからこそある訳で、そう思うと胸が詰まる思いだ。
でも、そう思う私は、もっと酷くて醜い。
ただの偽善者なんだ。
酷い自分の感情に、唖然とする。
りなさんの気持ちが分かるなんて言いながらも、譲れない想い。
瑠衣斗の隣には、私自身が居たいんだ。
自分が何をされ、何を言われたのか。
なんだかもう、グチャグチャだった。
自分がどうするべきなのかさえ、考えれる状態ではなかった。
どう息をしているのかも、自分が立ってるのか座っているのかさえ、感覚と言う感覚がなくなっている。
私…居ない方が良かった。
思い浮かぶ言葉は、そんな言葉だけ。
この場所に、ではなく。
もう瑠衣斗と出会う以前の話。
私…なんで生まれてきたんだろ。
りなさんの言葉が、ついさっきの事のように蘇る。
消えてよ。あんたなんか誰も必要になんて思ってねーよ。パパママと一緒に死ねば良かったじゃん
「ごめんなさい。私、るぅが居ないとダメなの。だから、渡せません」
必要とされてなくても、私が必要としてる人だから。
瑠衣斗にも、必要とされたいから。
だから離れる事は、できない。