いちごいちえ




生まれてきた意味なんて、誰も分からない。


みんな何かを抱えながらも、成長して大きくなっていく。



前の私とは、違うんだ。


きっと瑠衣斗と付き合う前なら、前みたいに逃げるしかできなかった。



明らかな悪意の言葉に、まんまと傷付くだけ。それで終わり。



でも今は、瑠衣斗が居てくれる。


この手を離してはいけないと、そう思ったから。



過去と言うたくさんのモノを抱えていた瑠衣斗なのに、私をそばでずっと支えてくれていた。


だったら今度は、私がそばに居て支えてあげたいから。



傷付いちゃうかもだけど、少しずつ、ちょっとずつ乗り越えて行けばいい。



隣には、瑠衣斗が居てくれるから。


私をちゃんと、見ていてくれるから。




刺すような視線でも、私は目を離さなかった。


それは、瑠衣斗が私の隣に居てくれるから。



握り締めた手が、大丈夫だよって言ってくれてるような気がしたから。



「私は結果的に、るぅをりなさんから奪ったのかもしれない。でも、私も…るぅが好きだから。譲れないから」



目は逸らさない。きちんと目を合わせて話さなきゃ、相手には伝わらない。



「だから、ごめんなさい」



こんな言葉で、諦めてくれるなんて思ってない。


これは私の、私自身の気持ちだから、りなさんには伝えたかった。




まだまだ怖い夜はたくさんあるけれど、夜空に広がる星屑を見上げれば、夜しか見えない光達が、優しく瞬く光を届けてくれる。



不安に押し潰されそうな夜もあるけれど、夜は必ず明けるから。


寂しくて寂しくて、どうしようもない夜もあるけれど、夜が明ければみんなの笑顔に会えると思うと、楽しみで仕方ない夜になるから。



1人ぼっちが寂しい夜があるけれど、瑠衣斗と繋がる気持ちがあると思うと、幸せに満たされ、会いたいと思えるから。



瑠衣斗が居てくれるから、私は強くなれるから。
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