いちごいちえ




「私、いっぱい傷付いた」



「…うん」



るぅが居なくなっちゃうと思った。離れていっちゃうと思った。


そう思ったら、怖くて寂しくて、辛かった。



「でも、りなさんの気持ちも分かるの。るぅの気持ちも分かるの」



私だって、同じだから。

だから何も攻める事なんてできないし、嫌いになんてなれない。



「だってね…?私は、慶兄に甘えてたし。慶兄がそう言うから…って、無理だからって言う事もできたのに、私は慶兄のせいにして甘えて付き合った」



「………」



瑠衣斗はもう、なにも言わなかった。


どんな顔をしているかなんて、見る事ができない。


それでも私は伝えなきゃいけないんだ。



「最低なのは私だよ。るぅの事が好きなのに、慶兄と付き合ってた。慶兄は、そんな私の気持ちも知っててだよ」



今でも、慶兄が幸せだったかなんて分からない。


むしろ傷付けてしまったと思うし、それなのに今でも私の幸せを願っていてくれる慶兄に、私は何もしてやれなかったんだ。



「だから、りなさんがるぅの事を好きな気持ちも分かる。るぅの気持ちも、私には分かるから」


だから私は、誰も責める事なんてできないし、したくない。


だからって、人を傷付けて良い訳ではない。


いろいろなすれ違いから、今のこの結果がある。


逆算して考えてみても、きっと同じ結果になっていただろうし、変える事はできないのだから。



「だから、るぅは自分を責めないで。私はりなさんと、きちんと話をしてほしかったから」



正直、るぅは戻ってこないのかもなんて、そんな事を考えていたから。


りなさんと話す事で、私の元に、戻ってはこないような気がして、怖かったんだ。
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