いちごいちえ
「…ごめんな」
優しく髪を撫でてくれる大きな手が、心地良い。
瑠衣斗の優しい声が、私の胸を震わせるようだ。
「ももに嫌われても、離すつもりないから」
「…うん」
「独占欲は、間違いなく俺の方が強いと思うけどな」
瑠衣斗の甘くて爽やかな香りが、私を包み込む。
川のせせらぎに耳を傾けると、気持ちが穏やかになる。
私はこの手を、絶対に離したくはない。
瑠衣斗を嫌いになる日がくるなんて、予想もつかない。
「やばいな〜。俺、どんどんももを好きになってく」
「え?」
「永遠に、ももを好きになり続けるんじゃねえかな。俺」
そんな事に、顔を上げた。
見下ろすように私を見つめる瑠衣斗の顔は、月明かりに照らされて優しく微笑んでいる。
こんなにも優しい顔をする瑠衣斗に、何故だか涙が出そうになった。
私だけに向けられる瑠衣斗の瞳には、しっかりと私を写してくれていて、それだけで胸が喜びでいっぱいになるんだ。
頬を優しく大きな手で撫でて、顎に添えられたのを合図に、私はゆっくりと目を閉じる。
羽根が触れたように優しく落とされる唇に、胸がギュッと鷲掴みされたように縮む。
「好きすぎてやべえ。どうしたらいい?」
唇を離さないまま、瑠衣斗が呟く。
顔が熱くなって、その熱が瑠衣斗にバレるんじゃないかと恥ずかしくなる。
私が何を答える前に、再び奪われる唇。
伝えたい事も、言いたい事も、いっぱいある。
それが全部、唇から伝わるようにと、私は瑠衣斗から与えられるキスを受け止めた。