いちごいちえ
瑠衣斗がりなさんと何を話したのか、気にならない訳がない。
でも、りなさんが納得してくれたのなら…それでもう十分なのかもしれない。
胸がモヤモヤと苦しいけれど、瑠衣斗の熱い唇が考えを中断させる。
こうして2人で今居る事が、なんだか不思議に思えてしまう。
もしかしたら、瑠衣斗が戻って来ないかもしれないなんて、そんな事を考えてしまったから。
弱気な自分は、いつも私自身を不安で一杯にする。
瑠衣斗を信じているのに、私は不安といつも背中合わせ。
言葉では言いようのない不安に、怯えてしまう。
怖くて怖くて…瑠衣斗をいつか失ってしまうんじゃないかって、そんな事を考えちゃうんだ。
「…もも」
囁かれた言葉に、私は目を開ける事ができなかった。
それどころか、いつの間にかきつく唇を結んでいた。
息が詰まって、うまく呼吸ができない。
目頭が熱くて、頭がキュウッとするんだ。
「ごめんな、辛い思いさせて」
指先で頬を撫でられると、そこからひんやりと冷えていく。
いつの間にか涙が溢れて、止まらなくなっていた。
瑠衣斗の顔が見れない。
目を開けたら、本当に止まらなくなってしまいそうで。
「全部俺にぶつけろ。我慢なんてするなよ…。辛かったよな」
そんな私を見透かすように、瑠衣斗が優しく呟く。
その言葉に思わず目を開けてしまい、やっぱり私は後悔する。
涙で滲んでよく見えないのに、瑠衣斗があまりにも優しく私を見つめているようで。
包み込むような、愛おしく私を見つめているようで、私は涙を止める事なんてできなかった。