いちごいちえ




ギュッと強く抱き締められたまま、私は瑠衣斗にしがみついた。


嗚咽が止まらない私の背中を、大きな手が優しく撫でてくれる。


怖かった。るぅが取られてしまうんじゃないかって。

2人に背中を向けた時、物凄く後悔した。

次にるぅと顔を合わせる時は、もしかしてサヨナラの言葉を言われるんじゃないかって。


私は変わりたいのに。変わった筈なのに。


こんなにも、弱虫で情けないんだ。



「好きだよ、もも。俺は何があっても、ももを離さないから」



「うっ…ほ、ほんと…?」



「本当。ももが離せって言っても、離すつもりはない」



「絶対…に?」



「絶対。てゆーか、いい加減信じろよ」




クスッと笑いながらも、撫でてくれる手はどこまでも優しく、私のさざ波だった心が穏やかになっていく。


私が落ち着くまで、いつまでも撫でてくれる瑠衣斗の手を、私は絶対に離したくはない。



泣くつもりなんて全くなかったのに、なんだか一気に気持ちが緩んでしまったようだ。



「こうやって、俺には素直になれよ?」



優しい瑠衣斗の言葉に、曖昧に小さく頷く。



素直になれたら苦労しないよ…。でも、素直になったらなったで、私すっごい鬱陶しいかもしれないし。



私の様子に、やっぱり瑠衣斗が小さく笑う。


それはなんだか、とても嬉しそうに。



「ももの気持ちなら、なんだって嬉しい。ももの不安も寂しいも、俺にとっては安心する言葉なんだ」



「…え?」



「俺の事、好きで居てくれてるって…そう実感するから。だから嬉しい」




思ってもみなかった優しすぎる言葉に、私は再び頬を濡らした。
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