いちごいちえ
不貞腐れる私をよそに、瑠衣斗はすっかりご機嫌だ。
瑠衣斗は私の着崩れする浴衣を直してくれると、軽く触れるだけのキスを落としていった。
「そろそろ帰ろう。今日は疲れただろう?」
しっかりと頷いた私を確認すると、瑠衣斗は私に手を借しながら立たせてくれて、私は地面に足を着ける。
立ち上がったのは良いが、なんだか足に力が入らなくて、思わずふらついた私は瑠衣斗にしがみついてしまった。
触れた瑠衣斗のゴツゴツとした体に、一気に顔が熱くなる。
「ご…めん…」
私がしがみついたせいで、目の前に写る瑠衣斗のはだけた胸に顔がひきつる。
うわぁぁぁ!!
もうヤダ私ってば!!
「なーに赤くなってんだよ」
「え!?ち、ちがうもん」
「ふーん?」
意地悪そうに目を細めた瑠衣斗が、いやらしく片方の口角を上げて私を見下ろす。
さり気なく背中に添えられた大きな手に、思わずピクリと体が跳ねた。
「くっ…意識しすぎ」
「もー!!そんな事ばっか言わないでえ!!」
片手で起用にはだけた胸元を直しながら、瑠衣斗が笑う。
恥ずかしくて仕方ない私は、瑠衣斗に連れられるがままに足を動かした。
それでも時々瑠衣斗が吹き出すもんだから、私はそのたびにチラリと睨み付けるしかできなかった。