いちごいちえ




顔がポッと、熱くなるのが分かった。


好きな人にこんな事を言われて、嬉しく思わない人なんて居ないと思う。



だからやっぱり私は、瑠衣斗には甘くなってしまうのかもしれない。



「…一緒に入るだけだよ?」



「一緒に入ってくれるの?」



渋々答えるも、やっぱり恥ずかしさが拭い去れない。


対照的に嬉しそうな声を出す瑠衣斗に、やっぱり悪い気なんてしないんだ。



「な、何にもしないって約束できるならね!!」



「しないよ。なに想像してんの?」



「え!?」



「エッチだなあ〜ももちゃん」




やっぱり可愛いなんて思った事は、撤回しようと思う。



固まる私をよそに、楽しそうに肩を揺らす瑠衣斗に悔しさが沸き起こる。



絶対、私の事からかって遊んでるに違いない。


悔しいったらありゃしない!!



「とりあえず頭、ピンとか取らないとな」



「…そーね」




ツーンと答えて、視線を下げる。


顔が熱いけれど、そんな事よりもやっぱり悔しさの方があっさり勝った。



そんな私に気付いてか、やっぱり楽しそうに私の頭からピンを取る瑠衣斗は、すっかりご機嫌の様子だ。



「ももちゃん」



「なに」



「……可愛いね」



「もお!!意地悪ばっかりしてっ」



「ん〜?」



アップにしていた髪が、パラパラとピンを外した所から落ちていく。


優しい手つきでピンを外してくれる瑠衣斗に、私はただじっとしてされるがままになっていた。
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