いちごいちえ
着替えを手伝おうとする瑠衣斗を無理矢理剥がして、ようやく人心落ち着く。
そしてそのまま、すっかりご機嫌な瑠衣斗と並んで、お風呂に入るべく部屋を並んで出た。
離れにある瑠衣斗の部屋からは、一番近い貸し切り風呂へと向かい、瑠衣斗を無理矢理先に入らせ、私はタオルを固く体に巻き付けて、後から1人で瑠衣斗の後に続いた。
やっぱり湯船は張っていなくて、寂しい感じもしてしまう。
瑠衣斗がシャワーを頭から被っていて、私が入ってきた事に気付くと、手招きして私を呼んだ。
いくらいろいろ見られているとは言え、やっぱり無駄にドキドキしてしまう。
それに、濡れた瑠衣斗がやけに艶めかしくて、その増した色っぽさにクラクラしてしまうんだ。
「頭洗ってやるから、こっち向いて?」
コクンと頷いて、素直に頭を下げる。
と言っても、身長差がかなりあるので、頭を下げる必要なんてないのだけど。
暖かいシャワーが頭から掛けられ、次にシャンプーで髪を洗われていく。
優しい手つきが気持ちよくて、頑なだった心が、解されていくようだ。
「ももの髪って、柔らかいよな」
「うん…すぐ絡んだりするから大変だよ」
「そうか…。すっげー俺好み」
瑠衣斗の言葉で、私はまた一つずつ自分を好きになっていく。
瑠衣斗が好きな私を、私自身も好きだと思えるんだ。
丁寧に髪を洗ってもらうと、頭がスッキリとする。
恥ずかしさは相変わらず消えはしないけれど、これも一つの思い出になると思うと、幸せな気分になれた。
一通り髪を洗い終えると、交代で今度は私が瑠衣斗の頭を洗ってあげる。
素直に頭を下げた瑠衣斗が、やっぱり可愛く思えてしまう私は、学習能力が麻痺してしまっているに違いない。
「ん〜…気持ちぃ〜」
「ホントに気持ち良さそうだね」
うっとりとしたような声音に、自然と笑みが零れる。
穏やかな時間が、私達の周りに流れていた。