いちごいちえ
光雫
結局、体を洗う頃にはギャアギャアと大騒ぎし、随分と体力を消耗した。
どうしても私の体を洗うと言う瑠衣斗から逃げ回ったり、体を必死に隠しながら逃げていたためか、更には瑠衣斗の一挙手一投足がひどく気になり変にぐたついてしまったのだった。
「んっとに強情な奴だなあ」
「あっ、当たり前でしょう?意地悪しないって言ってたじゃん!!」
「意地悪じゃない。邪魔をしたんだ」
「…もっと酷いと思うけど」
満足にゆっくりと体は洗えなかったけれど、瑠衣斗の背中だけは流してあげた。
それ以外は、意地でもノータッチだったけど。
やっぱり、いくら何でもいきなり一緒にお風呂は、我ながらかなりのチャレンジャーだと思う。
ひとまず一通り体を洗ってしまうと、一緒に川沿いへと続く道へと歩き出した。
前に2人で通った時は、まだ付き合ってなかったんだよね。
あの時も十分にドキドキしたけれど、今日も負けないくらい胸がドキドキとしている。
今更ながら、あの時はよくるぅと一緒に入れたな…なんて思うけれど、その時の事を思い返すとそうならざるを得なかったかも?と考え、ひとまず考えを中断させた。
ザアザアと川の流れる音を聞きながら、いつか入った露天風呂へと辿り着いた。
躊躇なく身を沈めた瑠衣斗は、ふぅと肩から力を抜き、そのまま私を不思議そうな顔で見上げる。
「…なに?入れよ」
「あ、あぁ、うん…」
るぅは、ドキドキとかしないのかな?こーゆうのって普通だったりするの?
恐る恐るゆっくりと足先から湯船に入り、しっかりとタオルで胸元を握りしめたまま身を沈める。
口から心臓が飛び出てしまいそうな程、暴れる鼓動が息を上げてしまうようだった。