いちごいちえ
「いや、やっぱいい」
「え?」
「なんでもねえ」
……はい??
話を一方的に切り上げられてしまい、拍子抜けしてしまう。
何だか逆に、余計に気になっちゃうんだけど……。
「気になるじゃん…」
「うん、気にしなくても全く大丈夫だ」
「無茶言わないでっ」
こうなると、頑固な瑠衣斗が意地でも吐かない事は分かってはいるけれど、どうしても気になってしまう。
こうして瑠衣斗の気持ちや言葉が聞けるのなら、一瞬たりとも聞き逃すような事はしたくないから。
せっかく言葉にしてくれるなら、途中で止めたりなんてしてほしくなかった。
「んま、時期が来たら言うよ。今は雰囲気に流されたとでも思っとく」
「1人で納得しないでほしいんだけど…」
「だよな〜」
「ちょっと、私で遊んでるでしょ」
「まあな?」
やっぱりそう簡単にはいかずに、はぐらかされてしまう。
でも、今はそう言う瑠衣斗に従おうとした。
内容は全く分からないし気になるけれど、いつか教えてくれるだろうと信じて。
でも、これだけは伝えたい。
「…いつか、ちゃんと話してくれる?」
今はダメなら、いつかは必ず。
まだ私達は、始まったばかりだから。
「ちゃんと話すよ。てゆーか、絶対言う」
「あ〜もう、気になるっ」
「はは、もうちょい待ってろな」
そう言った瑠衣斗は、腕を私の腰に回し、優しく引き寄せる。
ドキンと音を立てた胸に、一気に思考が瑠衣斗でいっぱいになってしまった。