いちごいちえ




「る、るぅ…?」



「ん〜?」



「いや…あの、近い…なあって」



浮力に簡単に浮いた私は、踏ん張ってみても無駄な抵抗にすぎず、固まったまま瑠衣斗の膝に乗せられてしまう。



お腹に回った腕は、離してくれる様子もなく、更には私の肩に瑠衣斗が顔を乗せた。



ビクンと過剰に反応した私を、瑠衣斗がクスクスと小さく笑う。



首筋に当たる瑠衣斗の吐息が、私の頭の中をぐちゃぐちゃにしてしまうようだ。



「なんか本当に…まだ夢見てるみてえだ」



「ゆ、め…?」




溜め息混じりに言う瑠衣斗の唇が、私の首筋に軽くキスを落とす。


背筋が痺れるように電気が走り、顔がカアッと熱くなる。



「ももにこうやって触れられる事とか…腕の中にももが居る事が」



「え…」



「向こうに帰ったら、夢が覚めてしまうんじゃないかって。なんか怖い」




瑠衣斗の言葉は凄く嬉しい言葉なのに、私の胸を切なくさせる。


なんとなく、私もそう感じていたから。


1人ぼっちになってしまうんじゃないか、って。


1人であの家に帰る事が、何だか寂しくて寂しくて、怖いくらいだから。



「あ…っ」



首筋からゾクゾクとして、体をしならせた。


瑠衣斗の唇と熱い舌が、私を翻弄して考える事を中断させる。



「だから今すぐにでも…俺のモンにしてえ…」



「んっ…るぅっ」



「徐々に慣らしてから…って抑えてたけど……。結構限界」




チクンと痛みが走り、目をぐっと閉じた。


唇が離された箇所が、やけに熱く感じる。
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