いちごいちえ
「もも〜!!かわいいー!!」
「う!?え、あ…ありがとう」
すっかり見とれてしまっていた私は、隼人君の声によってハッと現実に戻される。
う、うわぁぁぁ…。
るぅの浴衣姿だぁ〜!!
ぽっと熱くなった頬は、間違いなく赤くなっているに違いない。
広い肩に、ぐるりと浅く巻かれた帯が、なんとも言えない色っぽさと、普段とは違う男らしさを漂わせている。
いつもとは全く違う雰囲気に、スイッチを入れたかのようにバクバクと心臓が暴れ出す。
ほんの少し油断するだけで、見とれてしまう自分が居た。
「瑠衣、顔真っ赤だよ」
「こ、これは…暑いからだよ!!」
「ふうーん?今更そんな事言っても説得力ないけど」
「うっ…」
口ごもってしまう瑠衣斗が、なんだかとても可愛く見える。
言葉ではなにも言ってはくれなかったけど、こんな瑠衣斗の態度が私には嬉しかった。
そして、思ってもみなかった瑠衣斗の浴衣姿に、思いっきりときめいてしまう私だった。
「おっ、ももちゃん可愛いなあ」
「でしょお!?素材がいいから何でも着こなしちゃうんだよね〜」
「由良の着せ替え人形だな」
様子を見にきた祐二さんが、由良さんとそんなやり取りをする。
そんなに誉められまくると、本気で恥ずかしいんですけど…。
私の足元にしがみつく隼人君が、キラキラとしたクリクリの瞳で私を見上げる。
そんな隼人君にさえ、照れ笑いを浮かべるしかできない。
相変わらず瑠衣斗は真っ赤だったけど、負けず劣らず私も赤かったに違いないだろう。