いちごいちえ




艶やかでツルツルな肌に、適度に付いた筋肉。


広くて厚い胸に、いつも抱きしめられているんだと思うと、今更ながら恥ずかしくなってきた。


それに、よくよく考えてみると、今の自分の状態にまで目を背けたくなる。



両腕でしっかりと腰を押さえつけられ、瑠衣斗の膝に跨ったままの姿に、目を泳がせてしまう。


本当に今更だけど、夢中になりすぎて全く意識なんてしていなかったんだ。



「なにそわそわしてんの?」



「ひ、うっ…べ…つにっ」



「やらしーなあ、ももちゃん」



「!?」




何も言えない自分が悔しい上に、図星のため返す言葉もない。



ジタバタと瑠衣斗から離れようと体を動かすも、それに同調するように瑠衣斗の腕に力がこもる。


ニコニコと余裕すら感じる表情に、私は無駄だと分かっていてもそうするしかなかった。



「暴れるなよ。てゆーか離れるなよ」



「やだー!!るぅ意地悪ばっかり言うんだもん」



「だっ…それは、ももの反応が可愛くてだなあ」



「なにそれ!!全然嬉しくない!!」



しまいにはギュッと抱き締められてしまい、仕方なく抵抗を止めて瑠衣斗の肩に顔を埋めた。


宥めるように背中を優しくポンポンと叩かれ、瑠衣斗が小さく笑う気配が伝わってくる。



「んっとに…うちのお姫様は可愛くて仕方ないよ……」



嬉しいと思う気持ちと、素直になれない自分。


顔を上げられないままの私を、瑠衣斗は優しく包み込んでくれる。



胸に響く瑠衣斗の鼓動は、力強く、とても優しかった。
< 71 / 251 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop