いちごいちえ
艶やかでツルツルな肌に、適度に付いた筋肉。
広くて厚い胸に、いつも抱きしめられているんだと思うと、今更ながら恥ずかしくなってきた。
それに、よくよく考えてみると、今の自分の状態にまで目を背けたくなる。
両腕でしっかりと腰を押さえつけられ、瑠衣斗の膝に跨ったままの姿に、目を泳がせてしまう。
本当に今更だけど、夢中になりすぎて全く意識なんてしていなかったんだ。
「なにそわそわしてんの?」
「ひ、うっ…べ…つにっ」
「やらしーなあ、ももちゃん」
「!?」
何も言えない自分が悔しい上に、図星のため返す言葉もない。
ジタバタと瑠衣斗から離れようと体を動かすも、それに同調するように瑠衣斗の腕に力がこもる。
ニコニコと余裕すら感じる表情に、私は無駄だと分かっていてもそうするしかなかった。
「暴れるなよ。てゆーか離れるなよ」
「やだー!!るぅ意地悪ばっかり言うんだもん」
「だっ…それは、ももの反応が可愛くてだなあ」
「なにそれ!!全然嬉しくない!!」
しまいにはギュッと抱き締められてしまい、仕方なく抵抗を止めて瑠衣斗の肩に顔を埋めた。
宥めるように背中を優しくポンポンと叩かれ、瑠衣斗が小さく笑う気配が伝わってくる。
「んっとに…うちのお姫様は可愛くて仕方ないよ……」
嬉しいと思う気持ちと、素直になれない自分。
顔を上げられないままの私を、瑠衣斗は優しく包み込んでくれる。
胸に響く瑠衣斗の鼓動は、力強く、とても優しかった。