いちごいちえ





息遣いの分かる程、唇が触れ合いそうな距離で、瑠衣斗の色素の薄い瞳が煌めく。



少し薄暗いせいか、その色はいつもより濃くて、くっきりとした瑠衣斗の二重瞼を栄えさせているかのようにすら感じる。



「……しないの?」



熱い指先が、頬から顎にかけて流れるように伝い、ドキリとしてしまう。


低く呟かれると、瑠衣斗が顔を傾ける。


あまりにも見つめられた瞳が綺麗すぎて、思わず見とれてしまい、瑠衣斗に吸い込まれるようにして唇を自ら重ねた。



受け止めるように待っていたように私を受け止めると、顎先に添えられていた手が後頭部に回され、ハッとして離れようとした私を押さえ込んだ。



「ふっ…る…」



「……上出来だ」




一度深く唇を塞がれると、すぐに離されてニコリと笑われる。


満足そうに頬を緩める瑠衣斗に、対照的に真っ赤な私は肩を抱かれたまま瑠衣斗の部屋へと向かったのだった。



なんか、ますます余裕に見える…ってゆーか、パワーアップキャンペーン中??



「さて、ちょっとゆっくりするか。明日は長時間車ん中だからな」



「う…うん」



当然、瑠衣斗が運転手だから早く休むのだろうけれど……。


露天風呂での出来事が脳裏を過ぎり、不自然な程意識してしまう。



瑠衣斗がああ言ってくれたのだし、何も意識してしまう事なんてないのに。



でもやっぱり、そう言う訳にはいかないんだ。
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